4月1日、2日の2日間開催しました『LUXMAN C-10X発売記念 フラッグシップ試聴会』は盛況のうちに終了しました。
たくさんのお客様のご来店誠にありがとうございました。
今回はイベントの主役でもあったコントロールアンプ『C-10X』のご紹介をしたいと思います。

前モデル『C-900u』が2013年12月に発売されたので、約9年ぶりの刷新となりました。
おおまかなデザインは前作を踏襲していますが、他の10Xシリーズと同様に奥に向かってスラントし、ラウンドコーナーシェイプから直線的な輪郭となったフロントパネルが特徴的です。

C-900u
外観については前述の通りですが、中身に関してはほぼ別物と言ってよいほど進化しています。
最も大きなポイントは新開発の増幅回路『LIFES』でしょう。
『LIFES』(Luxman Integrated Feedback Engine System)
新増幅回路LIFESはフラッグシップパワーアンプ『M-10X』にはじめて搭載され、その後プリメインアンプ『L-507Z』『L-509Z』と続き、『C-10X』で4機種目となりました。
採用は『C-10X』が初めてではありませんが当ブログでは触れていませんでしたので、改めてご紹介をしたいと思います。
LIFESの説明の前に、まずLUXMANのアンプにおいて欠かせないのがODNFです。
ODNF
LUXMANの増幅回路といえば『ODNF』という名前を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
ODNFは1999年にカーオーディオ用アンプCM-2100に初めて採用され、2000年にC-7f/M-7fへの搭載で高い評価を獲得、実に20年以上にわたって改良を加えられながら使用されてきた増幅回路です。
LUXMANのアンプ技術の中核をなす存在でした。
ODNFは最終的にODNF-uというモデルまで進化しました。
95周年記念プリメインアンプ『L-595A Limited』に搭載されたODNF-u
ODNFは20年以上にわたる改良の結果、増幅回路の性能はどんどん向上しました。
それに伴い回路規模も大きなものになっていきました。
その結果、いくつかの懸案、課題が生じるようになります。
・回路を納めるためのスペースの確保
・信号経路の伸長による純度の低下
・膨大なパーツの確保
特にパーツの確保に関しては昨今の状況において最も重要なポイントとなっていました。
新たな増幅回路の開発
間もなく迎える100周年を見据え、LUXMANは新たな増幅回路の開発に着手しました。
これまでLUXMANのアンプ技術の根幹を成していた増幅回路へのテコ入れは大きな決断だったでしょう。
『歪み成分のみをフィードバックする事で鮮度が高く自然でみずみずしい音色を実現する』というODNFのコンセプトはそのままに、シンプルかつコンパクトな回路。
開発においては、コンピューターによるシミュレーションを用い、さまざまな回路とパーツの組み合わせを何千回と試行し、その後試作・実装を繰り返し理想的なパターンを導出。
パーツの選定には高品質かつ長期安定的に入手できるものを厳選しました。
こうして完成した回路『LIFES』はODNFと比べ、歪みは半分以下、S/Nは6db向上と格段の進化を遂げました。

LIFES
C-10Xにはフルバランス構成で4基のLIFESを搭載しています。
このLIFESへの進化はサウンド面でも凄まじい影響を与えており、後述する試聴レビューにおいてその点をお伝えしたいと思います。
LECUA-EX
コントロールアンプである以上、当然音量調整機能が必要です。
LUXMANはLECUAという独自の音量調整機構を搭載しています。
こちらの技術も2003年発売のC-70fに初搭載され、長きにわたり改良を加えながら採用されています。
LECUAは一般的なボリューム(可変抵抗器)とは異なります。
ボリューム調整ノブを回すことで位置(傾き)を検出し、LECUA基盤(異なる抵抗値を持った抵抗のシリーズ化)のボリューム位置が示す抵抗値への接続するという電子制御式アッテネーターです。

LUXMANのHPにあったC1000fに搭載されたLECUA1000の回路図です。
図の左側についての説明をしています。
この方式により、音楽信号の純度を落とすことなく音量調節ができるだけでなく、小音時の左右のレベル偏差(ギャングエラー)や音量ポジションによる音質差の極小化を可能にしています。
80周年記念モデルとして2006年に登場した『C-1000f』以降は増幅回路と一体化した方式となり、経路の最短化と高効率化を達成しています。
『C-10X』で採用されたLECUA-EXは第6世代にあたり、新開発のロータリーエンコーダーを使用しています。
このバージョンは先んじてリリースされた『L-509Z』から搭載されていますが、『C-10X』では192接点(それまでは88接点)という膨大なステップ数にする事で更にこまやかで高精度な音量調節が可能になっています。
吸引力の高いサウンド

メーカーの方のお話で、開発にあたってピアノの音にこだわって調整をしたという事を伺いました。
ピアノは鍵盤楽器ですが、ハンマーでピアノ線を叩く「打楽器的」な要素とピアノ線の振動が響板で増幅される「弦楽器的」な要素があります。
打楽器で必要な音の立ち上がりと弦楽器に求められる響きの美しさ、余韻はトレードオフの関係にあるように思います。
歯切れをよくすると響きは少なくなり、響きが多くなると歯切れは悪くなる。
『C-10X』の音は立ち上がりも良く、余韻も非常に美しく空間に消え去るまで繊細に描写します。
ピアノソナタ序奏の静かな立ち上がりでは、息をする事をためらうほどの静寂感。
その後の主旋律では一音一音のピアノのタッチの細かなニュアンスを感じながら、放たれたピアノの音色が混ざり合いながら広大な空間の中にゆっくりと消えていきます。

アリス=紗良・オット ショパン:ワルツ集 UCCG-51090
サン=サーンスの交響曲第3番 第二楽章第2部では荘厳なオルガンの響きを鳴らし切り、その後始まる
4手ピアノはヴァイオリンの音に埋もれて分かりにくくなりがちな旋律をしっかりと聴かせてくれました。
音というより振動に近いようなオルガンの通奏低音も正確に表現しています。

クリストフ・エッシェンバッハ サン=サーンス:交響曲第3番"オルガン" ODE1094
女性ボーカルは滑らかで適度な潤いを感じ、息継ぎまでリアルに再現しています。
アコースティックギターは一音一音に力強さを感じ、美しいハーモニーが空間に溶けていきます。

BEST AUDIOPHILE VOICES V XRCDPR27967
『忠実な再生』という言葉はオーディオの再生を評価するにあたってしばしば使われているように思います。
今のLUXMANの音を聴くと、この忠実な再生という言葉が頭に浮かんできます。
忠実というのは、信号に対して、という意味よりその根源にある演奏者あるいは演奏そのものに対しての忠実さです。
アーティストがレコーディングの際に込めた想いやその場の熱気、空気感、そのすべてを余すところなく再現してくれているように感じます。
私はよく音作りという言い方をしてしまいますが(語彙力の問題)、C-10Xを含む10Xシリーズの音を聴いているとLUXMANの製品は音作りという言葉を使ってはいけない気がします。
作っているのではなく、ありのままを再現している。スピーカーから奏でられているのは音ではなく音楽である。それを強く感じさせます。

100周年を目前にして、LUXMANは飛躍的に進化しました。
音が出た瞬間に、グッと心が引っ張られていくような感覚。
ほかごとをさせてくれない音楽への吸引力。
心から音楽と向き合える体験をさせてくれます。
C-10Xは2023年4月末発売予定です。
サウンド・ハンターではLUXMANの10Xシリーズをフルシステムでご試聴いただけるようになります。
ぜひ皆さんに体験していただきたいと思っています。
お問い合わせはこちら
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株式会社サウンド・ハンターAudio岐阜店
〒500-8262
岐阜県岐阜市茜部本郷3-154
TEL:058-278-0851
FAX:058-278-0852
MAIL:audio@soundhunter.co.jp
HP:http://www.soundhunter.co.jp/audio/index.html
営業時間:10:30~20:00(日曜は19時まで)
月曜店休・火曜定休
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たくさんのお客様のご来店誠にありがとうございました。
今回はイベントの主役でもあったコントロールアンプ『C-10X』のご紹介をしたいと思います。

前モデル『C-900u』が2013年12月に発売されたので、約9年ぶりの刷新となりました。
おおまかなデザインは前作を踏襲していますが、他の10Xシリーズと同様に奥に向かってスラントし、ラウンドコーナーシェイプから直線的な輪郭となったフロントパネルが特徴的です。

C-900u
外観については前述の通りですが、中身に関してはほぼ別物と言ってよいほど進化しています。
最も大きなポイントは新開発の増幅回路『LIFES』でしょう。
『LIFES』(Luxman Integrated Feedback Engine System)
新増幅回路LIFESはフラッグシップパワーアンプ『M-10X』にはじめて搭載され、その後プリメインアンプ『L-507Z』『L-509Z』と続き、『C-10X』で4機種目となりました。
採用は『C-10X』が初めてではありませんが当ブログでは触れていませんでしたので、改めてご紹介をしたいと思います。
LIFESの説明の前に、まずLUXMANのアンプにおいて欠かせないのがODNFです。
ODNF
LUXMANの増幅回路といえば『ODNF』という名前を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
ODNFは1999年にカーオーディオ用アンプCM-2100に初めて採用され、2000年にC-7f/M-7fへの搭載で高い評価を獲得、実に20年以上にわたって改良を加えられながら使用されてきた増幅回路です。
LUXMANのアンプ技術の中核をなす存在でした。
ODNFは最終的にODNF-uというモデルまで進化しました。

95周年記念プリメインアンプ『L-595A Limited』に搭載されたODNF-u
ODNFは20年以上にわたる改良の結果、増幅回路の性能はどんどん向上しました。
それに伴い回路規模も大きなものになっていきました。
その結果、いくつかの懸案、課題が生じるようになります。
・回路を納めるためのスペースの確保
・信号経路の伸長による純度の低下
・膨大なパーツの確保
特にパーツの確保に関しては昨今の状況において最も重要なポイントとなっていました。
新たな増幅回路の開発
間もなく迎える100周年を見据え、LUXMANは新たな増幅回路の開発に着手しました。
これまでLUXMANのアンプ技術の根幹を成していた増幅回路へのテコ入れは大きな決断だったでしょう。
『歪み成分のみをフィードバックする事で鮮度が高く自然でみずみずしい音色を実現する』というODNFのコンセプトはそのままに、シンプルかつコンパクトな回路。
開発においては、コンピューターによるシミュレーションを用い、さまざまな回路とパーツの組み合わせを何千回と試行し、その後試作・実装を繰り返し理想的なパターンを導出。
パーツの選定には高品質かつ長期安定的に入手できるものを厳選しました。
こうして完成した回路『LIFES』はODNFと比べ、歪みは半分以下、S/Nは6db向上と格段の進化を遂げました。

LIFES
C-10Xにはフルバランス構成で4基のLIFESを搭載しています。
このLIFESへの進化はサウンド面でも凄まじい影響を与えており、後述する試聴レビューにおいてその点をお伝えしたいと思います。
LECUA-EX
コントロールアンプである以上、当然音量調整機能が必要です。
LUXMANはLECUAという独自の音量調整機構を搭載しています。
こちらの技術も2003年発売のC-70fに初搭載され、長きにわたり改良を加えながら採用されています。
LECUAは一般的なボリューム(可変抵抗器)とは異なります。
ボリューム調整ノブを回すことで位置(傾き)を検出し、LECUA基盤(異なる抵抗値を持った抵抗のシリーズ化)のボリューム位置が示す抵抗値への接続するという電子制御式アッテネーターです。

LUXMANのHPにあったC1000fに搭載されたLECUA1000の回路図です。
図の左側についての説明をしています。
この方式により、音楽信号の純度を落とすことなく音量調節ができるだけでなく、小音時の左右のレベル偏差(ギャングエラー)や音量ポジションによる音質差の極小化を可能にしています。
80周年記念モデルとして2006年に登場した『C-1000f』以降は増幅回路と一体化した方式となり、経路の最短化と高効率化を達成しています。
『C-10X』で採用されたLECUA-EXは第6世代にあたり、新開発のロータリーエンコーダーを使用しています。
このバージョンは先んじてリリースされた『L-509Z』から搭載されていますが、『C-10X』では192接点(それまでは88接点)という膨大なステップ数にする事で更にこまやかで高精度な音量調節が可能になっています。
吸引力の高いサウンド

メーカーの方のお話で、開発にあたってピアノの音にこだわって調整をしたという事を伺いました。
ピアノは鍵盤楽器ですが、ハンマーでピアノ線を叩く「打楽器的」な要素とピアノ線の振動が響板で増幅される「弦楽器的」な要素があります。
打楽器で必要な音の立ち上がりと弦楽器に求められる響きの美しさ、余韻はトレードオフの関係にあるように思います。
歯切れをよくすると響きは少なくなり、響きが多くなると歯切れは悪くなる。
『C-10X』の音は立ち上がりも良く、余韻も非常に美しく空間に消え去るまで繊細に描写します。
ピアノソナタ序奏の静かな立ち上がりでは、息をする事をためらうほどの静寂感。
その後の主旋律では一音一音のピアノのタッチの細かなニュアンスを感じながら、放たれたピアノの音色が混ざり合いながら広大な空間の中にゆっくりと消えていきます。

アリス=紗良・オット ショパン:ワルツ集 UCCG-51090
サン=サーンスの交響曲第3番 第二楽章第2部では荘厳なオルガンの響きを鳴らし切り、その後始まる
4手ピアノはヴァイオリンの音に埋もれて分かりにくくなりがちな旋律をしっかりと聴かせてくれました。
音というより振動に近いようなオルガンの通奏低音も正確に表現しています。

クリストフ・エッシェンバッハ サン=サーンス:交響曲第3番"オルガン" ODE1094
女性ボーカルは滑らかで適度な潤いを感じ、息継ぎまでリアルに再現しています。
アコースティックギターは一音一音に力強さを感じ、美しいハーモニーが空間に溶けていきます。

BEST AUDIOPHILE VOICES V XRCDPR27967
『忠実な再生』という言葉はオーディオの再生を評価するにあたってしばしば使われているように思います。
今のLUXMANの音を聴くと、この忠実な再生という言葉が頭に浮かんできます。
忠実というのは、信号に対して、という意味よりその根源にある演奏者あるいは演奏そのものに対しての忠実さです。
アーティストがレコーディングの際に込めた想いやその場の熱気、空気感、そのすべてを余すところなく再現してくれているように感じます。
私はよく音作りという言い方をしてしまいますが(語彙力の問題)、C-10Xを含む10Xシリーズの音を聴いているとLUXMANの製品は音作りという言葉を使ってはいけない気がします。
作っているのではなく、ありのままを再現している。スピーカーから奏でられているのは音ではなく音楽である。それを強く感じさせます。

100周年を目前にして、LUXMANは飛躍的に進化しました。
音が出た瞬間に、グッと心が引っ張られていくような感覚。
ほかごとをさせてくれない音楽への吸引力。
心から音楽と向き合える体験をさせてくれます。
C-10Xは2023年4月末発売予定です。
サウンド・ハンターではLUXMANの10Xシリーズをフルシステムでご試聴いただけるようになります。
ぜひ皆さんに体験していただきたいと思っています。
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MAIL:audio@soundhunter.co.jp
HP:http://www.soundhunter.co.jp/audio/index.html
営業時間:10:30~20:00(日曜は19時まで)
月曜店休・火曜定休
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